サントリー「GREEN DA・KA・RA/やさしい麦茶」のCMって、季節ごとに曲もキャストも少しずつ変わるから、「あの歌いつの?」や「最近の出演者は誰?」と迷いがち。
このシリーズは「生活感×寓話(小さな物語)×音楽のフック」が一貫した強み。
ここに社会性(リサイクル)や有名人コラボを重ね、飽きさせない設計で育ってきました。
この記事では、2010年代前半〜2025年までの主要トピックを時系列で整理しつつ、代表作の見どころやSNSの盛り上がりポイントまで一気に振り返ります。
サントリー「グリーンダカラ」シリーズの出発点は、「日常の水分補給=やさしい体験」を伝えること。
庭先・台所・縁側といった、誰もが知っている風景を舞台に、姉妹の自然な反応や表情でストーリーを展開。
「プハー」とのどごしを噛みしめる一瞬までが演出の一部に。
ここで「グリーンダカラ=やさしい」が視聴者の記憶に定着していきました。
「ムギちゃんとやかん」篇では3歳のムギちゃんが主役に。
やかんからペットボトルへ飲み物を注ぐ動き、ママを見上げる瞬間の表情――言葉でなく、所作で語る演出が光ります。
一気に“妹の存在感”が増し、以後の姉妹軸がより強化されました。
WEB限定で展開された「さよならグリーンダカラちゃん/出発」から「未来へ行く」篇では、徳原ありささんが演じる“おとなダカラちゃん”が登場。
子どもの成長を物語の構造に組み込んだ節目で、ブランドの世界観が未来へと続くストーリーラインにアップデートされました。
“ママの顔はシーサー/ジャミラ/モアイ…”の替え歌をムギちゃんが披露。
親子の日常ユーモアを軽快に見せつつ、「歌→表情→仕草」のリズムで耳に残る設計。
ポップで短くて印象に残りやすい構成が視聴者の記憶を刺激します。
「見つけた」「探した」といった短編シリーズが中心。
姉妹が季節や日常の中で“気づく”瞬間を積み上げる構成で、BGMや効果音、間の使い方が秀逸。まるでその場の空気を吸い込むような感覚で、視聴者を短時間で物語世界に引き込みます。
「空に太陽がある限り」篇(2019年7月16日〜)では初の衣装リニューアル、初めての楽器演奏、姉妹での歌唱と、シリーズ史上最大の刷新。
荒野で汗をかきながらギターを演奏し、最後に「プハー」のリセット。
音楽性を全面に据え、視聴者の耳と記憶に強く残る仕掛けが施されました。
講談師・神田伯山さんの語りを添えた「こんなときこそ」篇では、朝市でのちょっとした諍いを“濃縮タイプ1杯”で仲直りに導く寓話的構成。
音と間の説得力で“やさしさの和解”を描き、ブランドの信頼感を演出しています。
「#素晴らしい過去になろう 飲み終わった後」篇は、“飲料なのに飲み終わった後から始まる”という逆転コピーで、資源循環を日常に落とし込む試み。
神木隆之介さんと芦田愛菜さん、姉妹の共演で軽やかにサステナビリティを表現し、説教臭さを感じさせないスタイルに。
夏枠ではTUBE・前田亘輝さんも参加した替え歌で、夏×音楽×水分という伝統的構図を更新。
Web限定のハッシュタグ企画やパペット短尺動画など、SNS施策を通じてUGCを自然発生させる年。
公式の別バージョンやメイキング投稿が、ユーザー同士の対話を誘発し、ブランド周囲のオンラインコミュニティを刺激しています。
草彅剛さん&ユースケ・サンタマリアさんによる“なぎスケ”再登場で話題再燃。
さらに2025年「やさしいマンとまさかの収穫」篇でふなっしーも参戦し、巨大野菜を引っこ抜き、汗→“いい汗にいいスポドリ”というストレートな演出が印象的。
公式Xでは「別verある?」といった会話を呼び起こし、多くの投稿が生まれるなど、SNS運用も巧みに話題の拡大を誘導しました。
「グリーンダカラ」シリーズの最大の特徴のひとつは、“生活の手触り”が感じられるロケーション設定。
台所・庭・縁側・公園・校庭など、私たちの生活に実在しそうな場所で撮影された映像が多く、それによってCMに“親しみ”と“リアリティ”が宿ります。
そこに姉妹の自然なやりとりが重なり、小さな物語が生まれます。
まるで一篇の絵本を読んでいるかのような、“ミニマルなドラマ”が構成されているのです。
日常に起きる小さな衝突を、「やさしさ」や「分かち合い」で解決するストーリーとして描くスタイルが、シリーズの“やさしさの芯”を支えています。
グリーンダカラのCMは、視覚だけでなく「耳」でも記憶に残す設計が徹底されています。
特に2019年「空に太陽がある限り」篇以降はその傾向が強く、姉妹がギターを手にし、リズムに合わせて歌を披露するスタイルが定番化。
この年から音楽の力で「棚前で思い出してもらう」構造が強化されました。
2021年には、ムギちゃんが歌う替え歌「ママの顔はシーサー/ジャミラ/モアイ…」というワードがX(旧Twitter)でも拡散され、「何それ?」「クセになる」と話題に。
また、TUBE・前田亘輝が登場した「晴れ空マエダくん」篇では、“あー夏休み”の替え歌が夏の水分補給とリンクし、シーズナルなブランド定着にも一役買いました。
CMに登場する楽曲は、メロディーラインやフレーズが短くても印象的で、口ずさみやすいことが特徴です。
これは「思い出す→買う」の行動導線を音でつなぐための工夫。
特に忙しい朝や買い物中のタイミングでも、無意識にその曲が頭に浮かぶような“耳マーケティング”が機能していると言えます。
近年のグリーンダカラシリーズは、「サステナブル」「資源循環」「地球へのやさしさ」といった社会的なメッセージも取り入れています。
とはいえ、それをただ押しつけがましく伝えるのではなく、あくまで“やさしいトーン”で表現しているのが特徴です。
たとえば、2021年の「#素晴らしい過去になろう 飲み終わった後」篇では、「飲料なのに、飲み終わった後から物語が始まる」という逆転の発想を用い、ペットボトルのリサイクルをユニークに描きました。
CMで登場する映像も、堅苦しい説明ではなく、親しみやすいセリフや柔らかな演技、さわやかなBGMで構成されており、“見てて心が和む”中に、少しだけ考えさせられる要素があるというスタンス。
これが、グリーンダカラらしい“社会性の軽やか表現”であり、家族全体に支持される理由の一つです。
「話題を一度で終わらせない」――これがグリーンダカラのSNS施策の秀逸な点です。
とくにX(旧Twitter)では、CM公開→メイキング→別ver→ふなっしーver→WEB先行→TV放映決定…と、小出しにして話題を継続させる投稿戦略が徹底されています。
2024〜2025年の“なぎスケ×ふなっしー”の例がまさに象徴的。
草彅剛さんとユースケ・サンタマリアさんの人気ユニットがまさかの復活で話題になった直後に、「実はふなっしーverもあるらしい」「TVでも流れるらしい」といった情報が分散投稿され、SNS上では「見た?」「こっちは?」という視聴体験の共有が自然に発生しました。
このように、本編CMだけで完結させず、SNSでの“続き”や“裏側”を見たくなるような編集設計をすることで、視聴者が何度も情報に触れ、商品との接点が繰り返されます。
これは、CMというよりも“エンタメコンテンツ”として設計されている証拠でもあります。
この記事ではグリーンダカラのCM歴代をまとめて紹介しました。
2019年の音楽刷新、2021年のリサイクル提示、2024–25の“なぎスケ”&“ふなっしー”で世代横断の話題を作りました。
これからも「家族の水分補給」を軸に、季節のうれしさと時代の正しさを、軽やかに届けてくれるはず。
姉妹の系譜と今のポップカルチャーがどんな化学反応を起こすのか――次の新作も楽しみに待ちましょう。