「世田谷ベース」という名前を聞いたことがある人は多いと思います。でも実際どんな場所なのか、なぜあれほど多くの人を惹きつけるのか、ちゃんと説明できる人は意外と少ないんですよね。
私も最初はテレビでなんとなく見ていただけでした。「所さんの趣味の場所ね」くらいの認識で。でも調べれば調べるほど、これはただのガレージじゃないと気づいてきた。世田谷ベースは、一人の人間の哲学と審美眼が建物という形になった、ちょっと珍しい空間なんですよね。
世田谷ベースとは何か?基本情報
まず基本から整理しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | SETAGAYA A.F. BASE(世田谷エアフォースベース) |
| 場所 | 東京都世田谷区成城 |
| 完成 | 2006年 |
| 用途 | 所ジョージの事務所兼ガレージ兼遊び場 |
| 施工 | ミサワホーム(1階RC造、2階木質パネル工法) |
| コンセプト | アメリカの民間飛行場・空軍基地 |
| テレビ番組 | 「所さんの世田谷ベース」(BSフジ 2007年〜) |
「A.F.」はエアフォース(空軍)の略。正式名称が「世田谷空軍基地」というわけで、これだけで所さんのノリが伝わってくるというか、設計段階からすでに遊び心全開ですよね。
世田谷ベースの場所はどこ?
場所は東京都世田谷区成城5丁目。成城学園前駅から徒歩圏内の、東京有数の高級住宅街の一角にあります。
事務所を兼ねていることもあって、場所は以前から公開されていました。近くを通ると外観だけでも確認できます。ただ当然ながら私邸に近い施設なので、無断で敷地内に入ることはできませんし、過去には落書き被害にも遭っているそうです。外から眺めるだけでも、そのたたずまいには「おっ」となるはずです。
ちなみに敷地面積は500坪超とも言われています。そこに世田谷ベース(ガレージ棟)と自宅が別々に建っている構造です。世田谷ベースは所さんの「自宅」ではなく「仕事場兼遊び場」という位置づけ、というのが正確な表現なんですね。
世田谷ベースの建物——設計のこだわり
「アメリカの民間飛行場」がコンセプト
世田谷ベースを作るにあたり、所さんがイメージしていたのは「ドラッグレースをやっていた頃の古い横田基地、あるいはアメリカの街外れにある小さな民間飛行場」だったといいます。
このコンセプトが徹底されているのがすごいところで、建物の細部を見るとその本気ぶりがよく分かります。
入り口にはアメリカの基地そのままをイメージしたスチールのゲートがあり、鉄条網まで張り巡らされています。建物に通じる通路の両サイドはブロック塀で、その上部分がカマボコ状にモルタルで丸く仕上げられていて、アメリカの塀に多く見られるスタイルを再現しています。
さらに、所さんがアメリカから輸入してきた本物の黄色い消火栓、「ハイボルテージ」とペイントされた電柱まで設置されているんですよね。電柱は1本300万円という話も伝わっています。「敷地内の道路に電柱がないのはおかしい」という理由で買ったというから、こだわりの向かう方向が独特というか、徹底しているというか。
建物の構造——1階ガレージ、2階オフィス
建物は1階がRC(鉄筋コンクリート)造、2階がミサワホームの木質パネル工法。施工はミサワホームが担当し、設計はアメリカの輸入家具や雑貨も扱うデザイナーの友人が所さんの注文どおりに細部まで作り上げました。
1階がガレージで、コルベット・コブラ・カマロ・ロードランナーなど愛車が並ぶスペース。スウェーデン製の排気ダクトを2機設置するという、自動車工場並みの設備もあります。
2階は所さんのスペース、事務所スペース、トレーニングスペース。仕事もここでやりながら、合間にガレージに降りていじったり弾き語りをしたり——そういう日常が世田谷ベースで繰り広げられているわけです。
2016年に増築
自身が収集した大量のグッズ等で手狭となり、竣工から10年目を迎えた2016年に増築工事が行われました。
増築を担当したのが建築ブランド「デイトナハウス×LDK」で、世田谷ベースとの世界観を揃えた増築が行われたとのこと。10年経っても収まりきらないコレクションが増え続けているというのが、まあ所さんらしいですよね。

世田谷ベースの中身——何があるの?
愛車・愛バイクのコレクション
世田谷ベースといえばまず車とバイクです。コルベット、コブラ、カマロ、ロードランナーといったアメ車の名車に加え、カワサキ、ヤマハ、ハーレーダビッドソンなど数多くのバイクが並んでいます。
しかも単なるコレクションじゃなくて、自分でカスタムするんですよね。ベース車両を買ってきて、塗装を剥いで、ツヤ消しでペイントして、ステンシルを入れて——そういう作業を所さんが自ら楽しんでやっています。
「世田谷ベース風カスタム」という文化の発信地
ツヤ消し塗装+ステンシルという「世田谷ベース風カスタム」は、世田谷ベースが発祥となって全国に広まったカスタムスタイルです。車やバイクだけでなく、家具、壁、雑貨、ガレージ全体を「世田谷ベース風」にカスタムする人が日本中に生まれました。
RoomClipやみんカラを見ると今も「世田谷ベース目指して」「世田谷ベース風」というタグがたくさん出てきます。特定の人の特定の趣味が、一つのカルチャームーブメントになったわけですね。
ターンテーブル——ビートたけしのために作った
世田谷ベースの中でとくに話題になるエピソードのひとつが、車のターンテーブルです。
ビートたけしが世田谷ベースに車で遊びにきた時に「駐車しづらい」「車をバックできない」と言ったことがきっかけで、所さんがターンテーブルを設置しました。
たけしさんの一言で、ターンテーブルを「作った」。さらっと言っているのが逆に怖い(笑)。でもこれが世田谷ベースのノリを象徴していると思うんですよね。「遊びに来る友人のために設備を更新していく」という、なんともスケールの大きいおもてなしです。
空気清浄機のエピソード——15分で「錆び加工」
世田谷ベースには、所さんらしいエピソードが山ほどあります。
そのひとつが空気清浄機の話。番組スタッフが世田谷ベースを訪問した際に「空気清浄機だけ新しいんですね」と言ったそうです。するとその発言が悔しかった所さんは、新品の空気清浄機を即座にエイジング塗装で「錆び風」に仕上げてしまった。しかも15分で。
使い古されたような質感のペイントを15分で仕上げてしまうセンスと行動力——これが世田谷ベースのDIY精神の本質だと私は思っています。道具を持っているだけじゃなく、使いこなしてしまう。
家庭菜園と奥さんの料理
所さんが自ら耕している畑もあり、収穫した野菜は夫人の手で調理され来客に振る舞われることもあります。
所さんの奥さんは料理研究家で、ビートたけしをはじめ遊びに来る友人たちは次回の訪問時に食べたい料理をリクエストするのが恒例になっているそうです。ガレージで車をいじって、畑で野菜を育てて、友人が集まって料理を食べる——「秘密基地」でありながら、どこか家庭的な温かさもあるんですよね。
世田谷ベースに集う人たち
「毎週日曜日に来るたけし」という存在
世田谷ベースを語るうえで欠かせないのがビートたけしさんとの関係です。たけしは毎週日曜日(多い時は週4日)に遊びに来ています。
週4日というのがなかなか衝撃的な数字ですよね。それほど居心地がいい場所なのか、所さんとの関係がそれほど深いのか——おそらく両方なんでしょう。
ビートたけしが世田谷ベースに足を繰り返し通ううちに自分も遊び場が欲しくなり、「等々力ベース」を建設しました。完成に際しては所さんから家具や物品を大量に受け取り、等々力ベースを「世田谷ベースの影響を受けた場所」として作り上げています。
集う面々
世田谷ベースには木梨憲武さん、奥田民生さん、松田翔太さん、SUGIZOさん(LUNA SEA)、山本"KID"徳郁さんなど、ジャンルを超えた面々が集まります。
世界的建築家の隈研吾さんが訪問して「所さんのライフスタイルにこれからの未来が見える」と語ったという話もあるほど。ガレージ好きだけが集まる場所ではなく、「面白いものを面白がれる人」が自然に引き寄せられる場所になっているのかもしれません。
「世田谷ベース」が日本文化に与えた影響
「◯◯ベース」という言葉の定着
世田谷ベースが広まるとともに「◯◯ベース」という言葉が流行し、自身のガレージや部屋を自由にカスタマイズして楽しむカルチャーが定番化しました。日本各地に「◯◯ベース」というガレージや店舗が生まれ、クルマやバイクをツヤ消しカラーにペイントしてステンシルを施す「世田谷ベース風カスタム」も一般化していきました。
「世田谷ベース」以前と以後で、日本のガレージライフへの意識はかなり変わったと思います。「車を置く場所」から「車と一緒に生きる空間を作る楽しみ」へ——その意識の変化を、世田谷ベースが引き起こしたとも言えるわけです。
BSフジ「所さんの世田谷ベース」という番組
2007年4月4日にBSフジでスタートした「所さんの世田谷ベース」は、企画・構成・台本が一切なく、所ジョージのアドリブだけで番組が進行される異色のバラエティ番組です。
台本なしで18年以上続いているというのが、またすごい話で。所さんがその日面白いと思ったものを持ってきて、ただそれを紹介する。それだけで番組になってしまうというのは、所さんの日常そのものが面白いということでもあるんですよね。
番組が始まった翌年には、所さんのコレクションや世界観を紹介するムック「所ジョージの世田谷ベース」(デイトナ)も刊行。2025年時点でvol.60を超える人気シリーズになっています。
世田谷ベースが「単なる秘密基地」じゃない理由
所ジョージの世田谷ベースは、多くの人が「憧れ」と感じる空間です。でも何に憧れているのか、ちゃんと言語化するのが意外と難しい。
車が好きだから車を羨ましいと思っている人もいるでしょう。でも車を一台も持っていない人でも世田谷ベースに惹かれる人がいる。それはなぜか。
たぶん、自分の好きなものだけで作られた空間が、そこにあるからじゃないかと思うんですよね。妥協がない。誰かに見せるためでもなく、誰かに頼まれたわけでもなく、ただ自分が「こうしたい」と思ったものだけが集まっている。
電柱に300万円かけるのも、空気清浄機を15分でエイジング加工するのも、ターンテーブルを友人のために設置するのも——全部「こうすべき」じゃなくて「こうしたい」から動いている。
その「こうしたい」の純度の高さが、世田谷ベースの魅力の正体なんじゃないかと、私は思っています。
まとめ:世田谷ベースとは何か、一言で言うと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 東京都世田谷区成城(成城学園前駅徒歩圏) |
| 完成年 | 2006年(2016年に増築) |
| 建物設計 | アメリカの民間飛行場・空軍基地がコンセプト |
| 内部の主な設備 | ガレージ(愛車多数)・事務所・菜園・増築スペース |
| 訪問者 | ビートたけし・木梨憲武・奥田民生・松田翔太ほか |
| テレビ番組 | BSフジ「所さんの世田谷ベース」(2007年〜継続中) |
| 文化的影響 | 「◯◯ベース」文化・世田谷ベース風カスタムの全国普及 |
世田谷ベースとは、所ジョージという人の「好きなものしかない空間」です。
趣味の基地であり、仕事場であり、友人たちのたまり場であり、テレビ番組の舞台でもある。ミサワホームが施工した建物の中に、アメリカの空軍基地と民間飛行場と農園と音楽スタジオが同居しているという、なかなか異常な空間ですよね(笑)。
でも、その「なんでもある」感が所さんの人生そのもので、それを見た人が「あぁ、こういう生き方があるのか」と感じる——世田谷ベースがこれほど長く愛される理由は、きっとそこにあるのだと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 世田谷ベースは一般公開されていますか?見学できますか?
A. 一般公開はされていません。所さんの事務所兼私邸に近い施設のため、無断での立ち入りはできません。外観は成城の住宅街から確認できますが、過去には落書き被害もあったため、マナーある見学を心がけてください。
Q. 世田谷ベースの場所(住所)はどこですか?
A. 東京都世田谷区成城5丁目にあります。事務所兼施設として以前から場所は公開されています。最寄り駅は小田急線・成城学園前駅です。
Q. 世田谷ベースを建てるのにいくらかかったのですか?
A. 正式な金額は公表されていませんが、推計では土地代だけで数億円、建物を含めると2〜3億円以上という見方が多いようです。電柱1本の購入だけで300万円とも言われており、全体の規模感が伝わります。
Q. 世田谷ベースはビートたけしも所有していますか?
A. 世田谷ベースは所ジョージさんの施設です。ただし頻繁に訪問していたたけしさんが影響を受け、東京都世田谷区等々力に「等々力ベース」を建設しました。等々力ベースには世田谷ベースから譲り受けた家具・物品も持ち込まれています。
Q. BSフジ「所さんの世田谷ベース」はいつから放送されていますか?
A. 2007年4月4日から放送が始まり、2025年現在も継続中です。台本なし・アドリブのみという異色の構成で、18年以上続く長寿番組です。


